個人のサイト売買ガイド|流れと注意点をプロが解説

個人のサイト売買の流れと注意点をプロが解説

「個人のサイト売買に興味があるけれど、何から始めればいいか分からない」

「サイト売買は違法なのか」

「サイトを売却すると税金はいくらかかるのか」

といった疑問を感じていませんか。また、ご自身のサイトの相場や査定方法、本当に儲かるのか、失敗しないかなど、疑問は尽きないと思います。この記事では、個人のサイト売買に関する基本的な知識から、おすすめのサービス一覧、具体的な流れまで、網羅的に解説していきます。

  • 個人がサイト売買を行うメリットとデメリット
  • サイト売買の具体的な流れと手順
  • 失敗を避けるための重要な注意点
  • サイト売買にかかる税金や法律の基礎知識

サイト売買を個人で行う流れ

  • サイト売買とは?
  • サイト売買は違法ですか?
  • サイト売買の相場と計算方法
  • サイト査定のポイント
  • サイト売買は儲かるのか

サイト売買とは?

サイト売買とは、企業や個人が運営しているウェブサイトやブログ、ECサイトなどを、収益や価値を生み出す「資産」として売買することです。これは「サイトM&A」とも呼ばれます。

なぜサイトが売買されるのかというと、売り手と買い手双方に明確なメリットがあるためです。

売り手にとっては、運営してきたサイトを売却することで、一度にまとまった資金を獲得できる利点があります。また、運営リソースが割けなくなった、別の事業に集中したいといった場合の出口戦略にもなります。

一方で買い手にとっては、ゼロからサイトを立ち上げる手間と時間を大幅にショートカットできます。すでに収益やアクセスが発生しているサイトを手に入れることで、即座にビジネスを開始できるのが最大の魅力です。

サイト売買は違法ですか?

結論から申し上げますと、サイト売買(ウェブサイトのドメインやコンテンツの譲渡)自体は違法ではありません。これは企業間のM&A(合併・買収)と同様に、事業譲渡の一形態として法的に認められた商取引です。

ただし、売買する対象によっては注意が必要です。

プラットフォーム依存資産の注意点

ウェブサイト本体とは異なり、特定のプラットフォームに依存する資産、例えばYouTubeチャンネルX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSアカウントの売買は、各サービスの利用規約で禁止されているケースが一般的です。

これは「法律違反」ではありませんが、「規約違反」にあたる可能性があります。規約違反が発覚した場合、アカウントの凍結や削除といったペナルティを受けるリスクがあるため、これらの取引には細心の注意が必要です。

通常のウェブサイト(独自ドメインで運営されているブログやアフィリエイトサイトなど)の売買であれば、法的な問題は基本的にありません。

サイト売買の相場と計算方法

サイト売買には、不動産のような明確な「定価」は存在しません。価格は最終的に売り手と買い手の交渉によって決定されます。しかし、業界には一般的な相場の計算式が存在します。

最も広く使われている計算方法は、以下の通りです。

サイト売却価格の目安

直近6ヶ月〜1年間の「月間平均営業利益」 × 24〜36ヶ月分

※営業利益とは、売上から広告費、サーバー代、外注費などの運営コストを差し引いた「純粋な利益」のことです。

例えば、月の平均利益が5万円のサイトであれば、5万円 × 24〜36ヶ月 = 120万円〜180万円 が相場の目安となります。

この「ヶ月分」は、サイトのジャンルや安定性によって変動します。例えば、Googleのアップデート影響を受けにくい安定したジャンルであれば36ヶ月分、逆にリスクが高い(YMYL領域など)と判断されれば12ヶ月分程度で取引されることもあります。

収益ゼロのサイトの相場は?

まだ収益が上がっていないサイトや赤字のサイトであっても、売買が成立するケースは多々あります。その場合、利益ではなく「資産価値」で評価されます。

  • コンテンツの質と量(記事数)
  • ドメインパワー(運営歴や被リンク)
  • デザインの独自性

これらを総合的に判断し、例えば「この記事数を今から作成するといくらかかるか」といったコスト換算で価格が決定されます。安い案件では数万円程度で取引されることもあります。

サイト査定のポイント

サイトの売却価格(価値)は、主に「収益性」と「集客力」によって決まります。したがって、査定においては以下の2つのデータが最も重要視されます。

  1. 損益計算書(P/L)
    最低でも過去6ヶ月分、できれば1〜2年分の売上と経費(サーバー代、外注費、広告費など)をまとめたデータです。これにより、サイトがどれだけ安定して利益を生み出しているかが分かります。
  2. アナリティクスデータ
    Googleアナリティクスなどで計測したアクセスデータです。PV数やユーザー数だけでなく、「どのような経路(検索、SNSなど)から」「どのようなキーワードで」ユーザーが訪れているかが重要な査定ポイントとなります。

この他にも、以下のような特徴を持つサイトは高く評価される傾向にあります。

  • 収益とアクセスの安定性:特定の月にだけ依存せず、長期間安定している。
  • コンテンツの独自性・専門性:他にはないオリジナルの情報や専門家の知見が含まれている。
  • 特定のキーワードでの上位表示:収益性の高いキーワードで検索上位を維持している。

プラットフォームによっては、これらの情報を入力するだけで簡易的な自動査定をしてくれるサービスもあります。まずは自分のサイトがどれくらいの価値があるのか、試してみるのも良いでしょう。

サイト売買は儲かるのか

結論として、サイト売買は正しい知識と戦略を持って臨めば、儲かる可能性のあるビジネスモデルです。

儲かる仕組みは、売却側と購入側で異なります。

売却側(セラー)

自分でコツコツと育てたサイト(資産)を、月間利益の数年分という形で一気に現金化できます。例えば、月10万円の利益を出すサイトを300万円(30ヶ月分)で売却できれば、それは大きな利益となります。

購入側(バイヤー)

ゼロからサイトを育てる時間を「買う」ことができます。すでに月10万円の利益が出ているサイトを300万円で購入した場合、運営を引き継ぐだけで収益が発生するため、30ヶ月(2年半)で投資を回収できる計算になります。

特に購入側は、サイトを買収した後に「リノベーション」を施すことで、さらなる利益を生み出すことが可能です。例えば、デザインを改善したり、記事を追加したり、広告の配置を見直したりすることで、元の利益以上に収益性を高め、投資回収期間を早める手法がよく取られます。

サイト売買で個人が注意すべき点

  • 個人のサイト売買失敗例
  • サイトを売却すると税金はいくらかかりますか?
  • サイト売買サービス一覧
  • おすすめ仲介サービス
  • サイト売買を個人で行うリスク

個人のサイト売買失敗例

個人のサイト売買は、仲介業者を介さずにSNSや知人経由で直接交渉(相対取引)を行うことも可能です。しかし、この方法はトラブルに発展しやすいという大きなデメリットがあります。

知識や経験が不足していると、契約書の不備や手続きの漏れから、深刻な失敗につながるケースが後を絶ちません。

実際にあった個人のサイト売買失敗例

<購入側の失敗>
  • 提示された売上やPV数が虚偽のデータだった。
  • 購入直後にGoogleの手動ペナルティが発覚し、アクセスが激減した。
  • サイトの運営費用(高額なツール利用料など)が知らされておらず、想定より利益が出なかった。
  • サイト移行(サーバー移転)に失敗し、データが消失した。
<売却側の失敗>
  • サイトを先に譲渡したが、代金が振り込まれないまま連絡が取れなくなった。
  • 契約書に「競業避止義務」の記載があり、売却後、同ジャンルのサイトを運営できなくなった。

こうした失敗を避けるためにも、特に初心者の方は、信頼できる仲介サービス(プラットフォーム)を利用することを強く推奨します。専門家が間に入ることで、契約書の整備や代金決済(エスクローサービス)を安全に行ってくれます。

サイトを売却すると税金はいくらかかりますか?

サイトを売却して利益(売却益)が出た場合、原則として税金がかかります。いくらかかるかは、個人の状況(個人事業主か、副業か)や利益額によって大きく異なります。

これは税務に関する専門的な領域であり、断定的なことは言えませんが、一般的なケースとして解説します。

個人の場合(副業・個人事業主)

個人の場合、サイト売却益は「譲渡所得」または「事業所得」として扱われるのが一般的です。多くの場合、他の所得(給与所得など)と合算して計算される「総合課税」の対象となります。

総合課税は累進課税制度を採用しているため、所得が多いほど税率が高くなります。つまり、「売却益がいくらだから税金はいくら」とは一概に言えず、その人の年間の総所得によって税額が決定されます。

税金の計算は非常に複雑です。サイトの取得費用(サーバー代や外注費など)を経費として差し引ける場合もあります。売却金額が大きくなる場合は特に、必ず事前に税理士などの専門家にご相談ください

サイト売買サービス一覧

個人がサイト売買を行う方法は、直接交渉のほかに、専門のプラットフォーム(仲介・マッチングサービス)を利用するのが一般的です。サービスごとに手数料やサポート内容が大きく異なります。

ここでは、代表的なサービスの特徴を一覧表で比較します。

サービス名売主手数料買主手数料特徴
ラッコM&A無料成約額の5%(最低5.5万円)掲載数・成約数No.1。初心者や個人に人気。
ラッコマーケット成約額の20%無料1万~50万円の少額案件特化。即時譲渡対応。
サイトマ着手金3.3万+成果報酬20%~(最低49.5万円)着手金3.3万+成果報酬15%~(最低49.5万円)完全お任せ型。高成約率だが手数料は高め。
サイト売買Z成約額の3%~20%(最低1.1万円~)成約額の3%~10%(最低5.5万円)手数料が比較的安価。非公開案件も対応。
サイトキャッチャープランによる(直接交渉は無料)プランによる(直接交渉は3%+税)国内初の老舗サービス。交渉プランを選べる。
SiteStockプランによる(直接交渉は3%+税)プランによる(直接交渉は3%+税)定番サイトの一つ。交渉プランを選べる。
ウィルゲートM&A非公開非公開大型案件(数千万~)が中心。企業間取引に強み。

※手数料は2025年10月時点の参考値です。最新の情報は各公式サイトをご確認ください。

おすすめ仲介サービス

前述の一覧の通り、各サービスには明確な特徴があります。どのサービスが「おすすめ」かは、あなたの目的やサイトの規模によって異なります。

ご自身の状況に合わせて選ぶことが重要です。

目的別のおすすめサービス例

コストを抑えて売りたい・多くの買い手に見てもらいたい売主

ラッコM&A

売主の手数料が無料であり、業界最大手の掲載数を誇るため、買い手の目にも触れやすいのが特徴です。

手間を一切かけずに高額売却を狙いたい売主

サイトマ

手数料は高額ですが、「完全お任せ」で査定から交渉、契約まで全て代行してくれます。高い成約率も魅力です。

少額のサイトをスピーディに購入したい買主

ラッコマーケット

1万円から50万円の案件に特化しており、買主手数料は無料。条件が合えば最短5秒でサイトが手に入る即時譲渡システムがあります。

サイト売買を個人で行う総括

サイト売買を個人で行うことは、コスト削減の可能性がある一方で、多くのリスクと専門知識を必要とします。この記事の要点をまとめます。

  • サイト売買はWebサイトを資産として売買する行為
  • サイト売買自体は違法ではないが規約違反や権利侵害に注意
  • 売買相場は「月間平均営業利益 × 12〜36ヶ月」が目安
  • 正確な査定には損益データとアクセス解析が不可欠
  • 売り手は収益の早期現金化、買い手は時間の短縮がメリット
  • 個人間取引では収益の虚偽報告やサイト移管失敗のリスクがある
  • サイト移管の失敗は検索順位の急落につながる
  • 売却益には税金がかかるため税理士への相談が必須
  • 個人事業主か副業かで税の区分が変わる可能性がある
  • 安全な取引には専門のプラットフォーム利用が推奨される
  • サービスは「仲介型」と「マッチング型」に大別される
  • ラッコM&Aは手数料と安全性のバランスが良い
  • サイトマは高額だが完全お任せで売却したい人向け
  • ラッコマーケットは少額サイトを迅速に取引したい場合に適する
  • 個人取引のリスクを理解し適切なサービスを選ぶことが成功の鍵