こんにちは、「WP M&A」運営者です。
「サイト売買 流れ」と検索してこられたということは、ご自身のサイト売却や、逆にサイトの購入を検討されているのかなと思います。
ただ、いざサイトを売買するとなると、何から手をつけていいか、全体像がよく分かりませんよね。特に個人での取引だと不安ですし、仲介サービスを使うべきか、交渉や査定はどう進むのか、最終的な契約はどうなるのか、といった具体的な流れが気になるかと思います。
私自身もWordPressサイトのM&Aにとても興味があり、いろいろと調べてきました。その経験から言うと、サイト売買は「準備」と「流れの理解」がすべてと言ってもいいかもしれません。
この記事では、サイト売買の全体像を、できるだけ分かりやすく、売る側・買う側それぞれの視点から解説していきますね。
- サイト売買の全体的な流れとステップ
- 売り手側・買い手側それぞれの具体的な動き方
- 失敗しないための必須知識(契約書や税金)
- 個人間取引と仲介利用の違いやリスク
サイト売買の流れ:売却と購入
サイト売買の取引は、家や車を売買するのに少し似ているかもしれません。まずは「売り手」が準備をし、「買い手」がリサーチを始めます。ここでは、取引の基本的な流れを、両者の視点から見ていきましょう。
売り手の準備と売却ステップ
サイトを「売る」側にとって、成功の鍵は「いかに早く、高く、安全に売るか」ですよね。そのためには、売却活動を始める前の「準備」が非常に重要になってきます。
主なステップはこんな感じです。
- データ整理: 過去1年分くらいの収益データ(ASPのキャプチャなど)、経費(サーバー代や外注費)、アクセス数(アナリティクス)を正確にまとめます。これが曖昧だと、買い手は信用してくれません。
- 価値算定(査定): サイトの適正価格を知ります。仲介プラットフォームの自動査定を使ったり、担当者に相談したりするのが一般的ですね。
- 案件登録(出品): 仲介プラットフォームにサイト情報を登録します。ここで、運営マニュアルの有無など「再現性」をアピールできると高値がつきやすいです。
- 買い手と交渉: 買い手候補から連絡が来たら、秘密保持契約(NDA)を結んで詳細データを開示し、条件を詰めていきます。
- 契約とサイト移管: 条件が合意したら契約書を締結し、入金(エスクロー利用が必須です)を確認してから、ドメインやサーバーデータを引き渡します。
売り手のポイント
買い手(投資家)は、あなたの主観的なアピールよりも「客観的なデータ」を重視します。収益やアクセスの証拠をしっかり揃え、運営の属人性をなくしておくことが高値売却の鍵みたいです。
買い手の戦略と購入ステップ
サイトを「買う」側にとっては、「いかにリスクを避け、将来性のある優良案件を見抜くか」が勝負になります。
「時間をお金で買う」という意識が大切ですね。
- 戦略策定: 「なぜサイトを買うのか」を明確にします。既存事業とのシナジーか、新規参入の時短か、目的によって選ぶべき案件が変わります。
- 案件リサーチ: プラットフォームで予算やジャンルを絞り込み、気になる案件を探します。
- 初期交渉(NDA): 気になる案件があれば、売り手にNDA(秘密保持契約)を提示し、詳細なデータ(アナリティクス権限など)をもらいます。
- デューデリジェンス(DD): ここが最重要です。開示されたデータが本物か、法務リスク(著作権侵害など)がないか、徹底的に監査します。
- 契約とサイト譲受: DDで問題がなければ、契約書を締結し、エスクローサービスに代金を預託します。売り手からサイト一式を譲り受けたら、中身を確認(検収)して取引完了です。
取引完了までの平均期間
サイト売買にかかる期間は、一般的に「2〜3ヶ月」が目安とされています。
ただ、これは案件次第で大きく変わる点に注意が必要ですね。
- 早く決まるケース: 収益性が高く、価格も適正で、運営体制がシンプルな「優良案件」は、買い手の奪い合いになります。掲載から1週間、早いと即日で買い手が見つかることもあるそうです。
- 時間がかかるケース: 売り手の希望価格が高すぎたり、ジャンルがニッチすぎたりすると長期化します。また、買い手が大企業だと、社内承認に時間がかかって数ヶ月待つこともあるみたいですね。
売却価格の相場と価値算定
一番気になるところかもしれませんが、サイトの売却価格には一定の「相場」が存在します。
サイト価値の一般的な計算式
売却相場 = 月間営業利益(収益 − 経費) × 24〜36ヶ月分
例えば、毎月の収益が15万円、サーバー代などの経費が5万円なら、営業利益は10万円。そのサイトの相場は「240万円〜360万円」あたりが目安になる、ということです。
この「24〜36ヶ月」という倍率は、買い手が投資を回収する目安(2〜3年)から来ているんですね。サイトの将来性や安定性が高ければ、36ヶ月以上の高値がつくこともあります。
個人間取引と仲介の違い
取引形態は大きく分けて、専門のプラットフォーム(仲介)を通すか、SNSや知人経由で直接売買(個人間)するかの2択です。
それぞれのメリット・デメリットを理解しておくのは大事ですね。
仲介(プラットフォーム)利用
- メリット: 専門家が間に入る安心感、安全な決済(エスクロー)、契約書の雛形提供、効率的なマッチング。初心者や高額取引ではほぼ必須かなと思います。
- デメリット: 仲介手数料がかかります。(後述します)
個人間取引
- メリット: 仲介手数料がかからないこと、この一点ですね。
- デメリット: 交渉、契約書作成、サイト移管など全て自分たちで行う必要があり、高度な知識が求められます。
個人間取引の最大のリスク
個人間取引で最も怖いのは、お金のトラブルです。「代金を支払ったのにサイトが引き渡されない(持ち逃げ)」、「サイトを渡したのに入金されない」といった詐欺的なリスクが常にあります。
もし個人間で取引する場合でも、決済だけは「エスクローサービス」(第三者預託)を絶対に利用すべきです。
サイト売買の流れと必須知識
サイト売買の流れは、ただ「売って」「買う」だけではありません。取引の裏側には、失敗を避けるための重要な「監査」や「法務」、「税務」といった必須知識が関わってきます。ここを軽視すると、後で大きなトラブルになる可能性も…。
デューデリジェンスの実施
デューデリジェンス(DD)は、買い手側が行う「買収監査」のことです。売り手から提示された情報(収益やPV数)を鵜呑みにせず、それが「本当に真実か、隠れたリスクはないか」を徹底的に調査するプロセスです。
DDを怠ると、「収益データが偽装されていた」「購入直後にペナルティが発覚した」といった致命的な失敗につながりかねません。
具体的には、以下のような点をチェックします。
- データの真正性: アナリティクスやASPの「生データ」(閲覧権限)をもらい、申告値と一致するか確認します。キャプチャ画像は加工できるので信用しすぎない方が良いですね。
- SEOの健全性: Search Consoleでペナルティがないか、変なスパムリンクがついていないか確認します。
- 法務リスク: コンテンツが他サイトからのコピペ(著作権侵害)でないか、記事内容が薬機法や景表法に違反していないか、などです。
サイト譲渡契約書の重要性
DDをクリアして条件が合意したら、いよいよ「事業譲渡契約書」を締結します。口約束はダメ、絶対。この契約書が、後々のトラブルから自分を守る唯一の盾になります。
仲介業者が雛形を用意してくれることが多いですが、特に以下の条項は重要なので、弁護士レビューも検討するのが賢明です。
契約書の最重要条項(例)
- 譲渡対象の特定ドメインやサーバーデータはもちろん、SNSアカウントや外注先リストなど、「何を含むか」を全てリストアップします。「サイト一式」といった曖昧な表現はトラブルのもとです。
- 表明保証 (Reps & Warranties)「開示した収益データは正確です」「コンテンツは著作権を侵害していません」と、売り手が買い手に対して法的に「宣誓」する条項です。もし後で嘘が発覚したら、買い手は損害賠償を請求できます。
- 競業避止義務売り手がサイト売却後、すぐに同じような競合サイトを立ち上げるのを禁止する条項です。買い手にとっては非常に重要ですね。
仲介手数料と専門家報酬
安全な取引にはコストもかかります。主なコストは「仲介手数料」と、必要に応じた「専門家報酬」です。
仲介手数料
プラットフォームに支払う手数料です。相場は、成約金額の3%〜10%程度と言われています。プラットフォームによっては、売り手は無料で買い手のみ手数料が発生するケースもあるようです。これはあくまで目安なので、利用するサービスの手数料体系をしっかり確認しましょう。
専門家報酬
取引金額が大きい場合や法務リスクが心配な場合に、契約書のレビューなどを弁護士に依頼する費用です。一例として、取引額3,000万円の契約書作成で5万円〜20万円程度が相場として挙げられていますが、これも依頼内容によりますね。
売買で発生する税金の知識
サイト売買は「資産の譲渡」なので、利益が出れば当然、税金が発生します。ここが一番ややこしいかもしれません…。
売却側(個人)の税金
個人の場合、サイト売却で得た利益が「事業所得」「譲渡所得」「雑所得」のどれにあたるか、税法上の定義が非常に曖昧だそうです。どの区分になるかで税率が大きく変わるため、「売却が完了する前に」必ず税理士に相談するのが唯一の正しい行動かなと思います。
購入側(買い手)の会計処理
買い手は、購入費用をその年の経費として一括計上はできません。サイトは「資産」として計上し、「のれん(営業権)」として数年かけて償却(経費化)していく会計処理が必要になります。
税務に関する最重要注意事項
税金や会計処理に関する情報は、個人の状況や法改正によって大きく異なります。この記事の情報はあくまで一般的な知識の紹介であり、税務アドバイスではありません。
具体的な申告や処理については、必ず税理士や会計士などの専門家にご相談ください。
潜むリスクとトラブル事例
サイト売買の流れを軽視すると、典型的な失敗パターンに陥りがちです。
- 【買い手】データ偽装「購入後、PVや収益が申告と全く違った」というケース。DDで生データの閲覧を要求しなかったのが原因です。
- 【買い手】競合化「購入後、売り手がすぐに類似サイトを立ち上げた」というケース。契約書に「競業避止義務」を盛り込まなかったのが原因です。
- 【売り手】サポートが大変すぎる「譲渡後のアフターフォローが大変すぎる」というケース。契約書でサポート範囲(例:売却後1ヶ月、チャットのみ)を具体的に限定しなかったのが原因です。
サイト売買の流れ 総まとめ
ここまで、サイト売買の流れについて、売る側・買う側の両面から見てきました。
サイト売買は、準備から始まり、査定、交渉、DD、契約、そしてサイト移管と、多くのステップを踏むことが分かりますね。特に、デューデリジェンス(DD)と契約書、そして安全なエスクロー決済が、トラブルを避けるためにいかに重要かも感じていただけたかなと思います。
個人間取引は手数料がかからない魅力がありますが、リスクも非常に大きいです。特に初心者の場合や取引金額が大きくなる場合は、信頼できる仲介プラットフォームを利用することが、結果的に「安全」をお金で買うことにつながるります。
この記事が、あなたのサイト売買の第一歩を、安全に進めるためのお役に立てれば幸いです。
