失敗しないサイト売買!注意点と流れを解説

失敗しないサイト売買

最近、ブログやWebサイトを「事業」として売買する、サイト売買がすごく盛り上がっていますよね。自分が育てたサイトが想像以上の価格で売れたり、逆に収益が出ているサイトを買って事業をスタートしたり、夢が広がる話だなと思います。

ただ、その一方で「サイト売買 注意点」と検索している方が多いのも事実です。個人間の取引でトラブルになったり、契約書の不備で損をしたり、サイト売買にはデメリットやリスクも確かに存在します。

特に、サイト売買の全体的な流れを把握していないと、手数料の相場が分からなかったり、安全な取引に不可欠なエスクローという仕組みを知らなかったり、後で「しまった!」となりかねません。

私もこの世界に興味を持っていろいろと調べてきましたが、ブログを売買する際には、売った後にかかる税金の問題や、法的な知識も少し必要になってくるので、知らなかったでは済まされないケースもあるんですよね。

この記事では、サイト売買に興味を持ち始めた方が最低限知っておくべき注意点を、私の視点から分かりやすくまとめてみました。失敗しないためのポイントを一緒に確認していきましょう。

  • サイト売買の基本的な流れと取引形態のリスク
  • 買い手が必ず実施すべき「デューデリジェンス」のポイント
  • 契約書やサイト移転、税務に関する法的な注意点
  • 安全な取引のために専門家の助けを借りる重要性

サイト売買の注意点:取引と調査の罠

サイト売買と聞くと、「サイトのデータを渡して、お金をもらう」というシンプルなものを想像するかもしれません。でも実際は、収益を生む「事業」そのものを譲渡する、かなり複雑な取引なんですよね。まずは、取引のスタートラインと、買い手として最も重要な「調査」のフェーズに潜む注意点を見ていきましょう。

サイト売買の基本的な流れ

まず、サイト売買がどう進むのか、全体の流れを知っておくことが大事ですね。大まかには、こんな5つのステップで進むことが多いです。

  1. 事前準備: 売り手さんはアクセスや収益データをまとめ、買い手さんは予算や目的を決めます。
  2. マッチング: 仲介プラットフォームなどで売り手と買い手が出会います。
  3. 交渉とデューデリジェンス(DD): 買い手さんが、提示された情報が本当か、リスクはないかを徹底的に調査(DD)します。ここが超重要です。
  4. 契約締結: 条件がまとまったら、法的な「事業譲渡契約書」などを交わします。
  5. 引渡しと決済: 契約通りにサイトのデータ(ドメインやサーバー)を移転し、代金を支払います。

思っていたより、やることが多いと感じませんか? 不動産売買とまではいかなくても、かなり本格的な「取引」なんだと分かります。

個人間取引に潜むデメリットとは

サイト売買の取引形態は、大きく「仲介業者(プラットフォーム)を通す方法」と「個人間(SNSなどで直接交渉)で取引する方法」の2つがあります。

個人間取引のメリットは、なんといっても仲介手数料がかからないこと。コストを最小限にできるのは魅力的ですよね。

でも、ここには大きなデメリットが潜んでいます。

個人間取引のデメリット

  • サイトの価値算定(査定)を自分たちでやらないといけない
  • 交渉やサイト移転の知識が必須
  • 最も重要な「譲渡契約書」の作成を、法務知識がない当事者同士で行う必要がある

知識や経験が不足していると、後で「話が違う!」となっても法的な根拠がなく、泣き寝入りになるリスクが非常に高いです。特に初心者の方には、個人間取引は推奨できないな、と私は思います。

安全な取引のためのエスクロー

個人間取引、あるいは一部の仲介サービスを利用する際に、「エスクローサービス」という言葉は絶対に知っておかないといけません。

サイト売買の最大の恐怖って、「サイトの移転」と「代金の支払い」が同時にできないことにあるんです。

  • 買い手のリスク: 「代金を支払ったのに、サイトが移転されない(持ち逃げされた)」
  • 売り手のリスク: 「サイトを移転したのに、代金が支払われない(持ち逃げされた)」

この「持ち逃げリスク」を解消するのがエスクローです。

エスクローの仕組み

中立的な第三者(仲介業者など)が、買い手からの代金を一時的に預かるサービスです。

  1. 買い手が仲介業者に代金を振り込む
  2. 仲介業者が「入金確認しました」と売り手に連絡
  3. 売り手が安心してサイトの移転作業を行う
  4. 買い手が「サイト移転完了しました」と確認
  5. 仲介業者が預かっていた代金を売り手に振り込む

これなら、買い手も売り手も安全ですよね。この仕組みを提供している仲介業者を選ぶことが、安全な取引の第一歩になります。

買い手が陥るデューデリジェンスの穴

ここからは買い手側の最大の注意点、デューデリジェンス(DD)の話です。日本語だと「買収監査」とか言われますが、要は「買おうとしているサイトが、本当に売り手の言う通りの価値があるのか、ヤバい問題を隠していないか」を徹底的に精査することです。

これを怠ると、投資額(売買代金)を全額失うことにもなりかねません。

DDの基本は、売り手から提示される資料(収益レポートやアクセス解析)が正しいかを確認すること。ここで一番大事なのは、

スクリーンショットやExcelファイルを絶対に信用しないことです。

画像やファイルなんて、いくらでも改ざんできますからね…。

必ず「生データ」を確認する

アクセス解析なら、Googleアナリティクス(GA)の「閲覧権限」を付与してもらい、買い手である自分自身のアカウントで、生データにアクセスして推移や流入経路を確認する必要があります。

売り手さんがGAの権限付与に慣れていないケースもあるので、ここがスムーズにいかないと、DDが停滞するリスクもありますね。

サイト売買のデューデリジェンス(DD)については、こちらの「サイト売買のデューデリジェンス(DD)とは?やり方や注意点を解説」の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ブログのSEOリスクを見抜く方法

サイトの収益が検索流入(SEO)に依存しているブログやアフィリエイトサイトの場合、DDはさらに深掘りが必要です。

Googleアナリティクス(GA)で「どれだけアクセスがあるか」を見るのは当然ですが、それだけでは不十分です。私が思うに、GSC(Googleサーチコンソール)へのアクセス権もセットで要求することが、SEOリスクを把握する上で決定的に重要です。

なぜなら、GSCでないと確認できない、致命的なリスクがあるからです。

手動ペナルティの確認

GSCの「セキュリティと手動による対策」 > 「手動による対策」をチェックします。ここに何か警告が出ていたら、それはGoogleから「あなたのサイトはガイドライン違反です」と赤札を貼られている状態です。収益がゼロになる可能性のある、最も警戒すべきリスクですね。

被リンクの精査

GSCの「リンク」レポートや、Ahrefs(エイチレフス)などの専門ツールを使って、どんなサイトからリンクされているか(被リンク)を確認します。スパムサイトや海外のアダルトサイトなど、低品質なリンクが大量にあると、それが原因で将来ペナルティを受ける可能性があります。

コンテンツのコピペチェック

サイトの「資産」であるはずの記事が、実は他サイトからのコピペ(著作権侵害)だったら最悪ですよね。購入後に損害賠償請求されたり、重複コンテンツとしてGoogleから評価を下げられたりします。

「CopyContentDetector」などのコピペチェックツールを使って、怪しい記事がないか確認することも、買い手の防衛策として必須だと思います。

サイト売買の注意点:契約と移転・税務

デューデリジェンス(DD)を無事に終え、いよいよ契約だ!となっても、まだ安心はできません。サイト売買は「契約書がすべて」と言われるほど、法的な取り決めが重要です。さらに、サイトの技術的な移転や、売却後の「税金」という最後の関門も待っています。

売り手が気をつける表明保証

契約書の中でも、特に重要なのが「表明保証(ひょうめいほしょう)」という条項です。「レプワラ」とも呼ばれますね。

これは、売り手が買い手に対して、「私が開示したこのサイトの情報(収益データ、法令違反なし、著作権侵害なし等)は、すべて真実かつ正確ですよ」と法的に保証することです。

買い手は、DDをどれだけ頑張っても、サイトの全てのリスクを見抜くことは不可能です。そこで、この表明保証を根拠に、万が一、契約後に「隠れた瑕疵(かし)」…例えば、売り手が隠していた著作権侵害が発覚して損害が出た場合に、売り手に対して損害賠償を請求できるようにするわけです。

【インサイト】表明保証違反と日本の法律

実は、日本の法律(民法)では、単に「表明保証に違反した」というだけでは、自動的に損害賠償請求が認められない、という解釈が一般的なんだそうです。

そのため、契約書には「表明保証に違反があった場合、売り手は買い手が被った損害を補償しなければならない」という、違反時の救済策(補償条項)をセットで明記することが絶対に必要になります。ここは専門家の領域ですね。

逆に、売り手としては、自分が把握している不利な情報(「この記事、ちょっとグレーかも…」など)は、DDの段階で正直に開示し、それらを表明保証の「例外事項」として契約書に明記してもらうことが、将来のリスクを回避する最善の防衛策になります。

契約書で失敗しないための必須条項

表明保証のほかにも、契約書には大事な条項がいくつかあります。

サイト売買の契約書(事業譲渡契約書)について、もっと詳しく知りたい方は「サイト売買の契約書(事業譲渡契約書)で失敗しないための注意点」の記事もご覧ください。

秘密保持契約(NDA)

交渉の初期段階、DDで詳細な情報を開示する前に必ず結びます。サイトの収益情報や運営ノウハウは、売り手にとって命綱ですからね。

競業避止義務

売り手がサイトを売却した後、一定期間、同じようなジャンルのサイト運営を禁止する条項です。買い手にとっては重要ですが、売り手にとっては「禁止される範囲」が不当に広すぎないか、弁護士さんに確認してもらうのが賢明でしょうね。

引き継ぎ・サポート期間

これは私がとても重要だと思う項目です。サイトを売った後、売り手さんが「はい、さよなら」と音信不通になるケース、実は少なくないようです。

買い手としては、運営ノウハウなど、分からないことを聞きたいですよね。「契約後、最低1ヶ月間はメールでの質疑応答に対応する」など、具体的なサポート期間と範囲を契約書に明記しておくことを強く推奨します。

サイト移転とID・パスワード共有リスク

契約が終われば、最後は技術的な「サイト移転」です。ドメインの名義変更や、サーバー上のデータを新しいサーバーに移す作業ですね。

この時、絶対にやってはいけない、最も危険な行為があります。

【最大のリスク】ID/パスワードの安易な共有

売り手さんが使っているサーバー(エックスサーバーなど)や、ドメイン管理会社(お名前.comなど)の管理画面IDとパスワードを、そのまま買い手に教えることです。

なぜ危険かというと…

  • 売り手が他のサイトも同じアカウントで管理していた場合、売却対象以外の全サイト情報が買い手に漏洩します。
  • アカウントには、売り手の氏名、住所、電話番号、そしてクレジットカード情報が登録されています。これら全てが買い手に渡ってしまいます。

これは重大なセキュリティ事故ですよね。面倒でも、必ず各サービスが用意している正規の「サーバー移転」や「ドメイン移管」の手順を踏んでください。

サイト売買の手数料相場と選び方

仲介業者を利用する場合、もちろん「仲介手数料」がかかります。

不動産仲介のように「売買価格の○%」といった法律上の上限が決まっているわけではなく、各社が独自に料金を設定しています。

最近は、ラッコM&Aさんのように「売り手の手数料は無料」というプラットフォームも出てきていて、売り手としては嬉しい流れですよね(その分、買い手側が手数料を負担するモデルです)。

主要な仲介サービスの手数料比較(一例)

※情報は変更される可能性があるため、必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。

サービス名売り手の手数料買い手の手数料特徴
サイトレード10%~ (最低33万円)記載なし専任アドバイザー制
UREBA5%~10% (独占なら無料も)5%~10%売り手手数料無料プランあり
ラッコM&A無料成約金額の5% (最低5.5万円)売却手数料が無料

ただ、手数料の安さだけで仲介業者を選ぶのは危険かなと思います。契約書の雛形提供や法務サポート、エスクローサービスの有無、専任担当者がついてくれるかなど、サービス内容を総合的に見て判断することが大切ですね。

サイト売買と税金の申告漏れリスク

サイト売却で利益が出たら、当然ですが「税金」がかかります。この税務処理、実は「法人」か「個人」かで大きく違ってきます。

  • 法人が売却した場合: 他の事業の利益と合算されて「法人税」がかかります。これは比較的シンプルです。
  • 個人(個人事業主)が売却した場合: 「所得税」の対象になりますが、ここが非常にややこしいんです。

個人の場合、その売却益が「事業所得」になるか「譲渡所得」になるか、という重大な分岐点があります。

【最重要】事業所得 vs 譲渡所得

事業所得の場合:

サイト売買を”事業”として反復継続して行っている(サイト転売業など)とみなされるケース。他の給与所得などと合算され、累進課税(最大45%)が適用されます。

譲渡所得の場合:

たまたま資産(サイト)を売ったとみなされるケース。特に、サイトの所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税率が約20%に大幅に軽減される可能性があります。

「じゃあ、5年以上持ってたから長期譲渡所得で申告しよう!」と思いますよね。でも、ここに最大の落とし穴があります。

【税務上の最大リスク】判定基準は「税務署次第」

「何回売ったら事業所得」のような明確な法律上の基準は、残念ながら存在しません

売り手の活動実態(反復性、営利性など)を見て、最終的には「所轄税務署がどう判断するか」次第なんです。

もし「長期譲渡所得(20%)」で申告したものが、数年後の税務調査で「いや、これは事業所得(45%)だ」と否認された場合…。差額の25%分に加えて、延滞税や過少申告加算税といった重いペナルティ(追徴課税)が課されます。

サイト売却益の確定申告は、素人判断が最も危険です。

最終的な判断は、必ずサイト売買やM&Aに詳しい税理士にご相談ください。この相談費用は、将来のリスクを回避するための「必要経費」だと私は思います。

サイト売買の税金については、「サイト売買の税金は?個人・法人の計算方法や所得区分を解説」でも詳しく解説しています。

【総括】サイト売買の注意点と対策

ここまで、サイト売買に潜む様々な注意点を見てきました。

サイト売買は、法務(契約)、税務(申告)、技術(移転)、SEO(資産価値)といった、複数の専門領域が絡み合う、高度な「事業譲渡」行為なんだと、あらためて感じますね。

  • 買い手の最大リスク: デューデリジェンス不足で、価値のないサイト(著作権侵害、SEOペナルティなど)を高値掴みしてしまうこと。
  • 売り手の最大リスク: 契約書の不備や不適切な税務処理で、売却後に損害賠償請求されたり、追徴課税で利益の大半を失ったりすること。

これらのリスクを個人で全て管理・判断するのは、特に高額な案件や、法務・技術的な知識が求められる個人間取引においては、極めて困難です。

究極の注意点:専門家を頼ること

サイト売買の注意点はたくさんありますが、究極の対策は「専門家の力を借りるコストを惜しまないこと」に尽きると思います。

契約書のレビュー、表明保証の交渉、そして最も判断が難しい税務区分の決定については、取引の初期段階から、サイト売買(M&A)の実務に詳しい弁護士税理士に相談することを強く推奨します。

専門家への相談費用は、将来発生し得る損失(損害賠償や追徴課税)と比べれば、取引の安全性を確保するための「必要不可欠なコスト」です。