サイト売買の失敗パターンと回避策を徹底解説

サイト売買の失敗パターンと回避策を徹底解説

サイト売買に興味はあるものの、「失敗したらどうしよう」と不安を感じていませんか?WEBサイトの取引は専門的な知識も必要で、安易に手を出すと大きな損失につながる可能性があります。

この記事では、サイト売買でよくある失敗パターンを、購入者側・売却側それぞれの視点から詳しく解説します。安全な取引のために押さえておくべき注意点も網羅していますので、リスクを理解し、トラブルを未然に防ぐためにぜひ参考にしてください。

  • サイト購入時に起こり得る失敗パターン
  • サイト売却時に注意すべき落とし穴
  • 失敗を回避するための具体的な対策とチェックリスト
  • 安全な取引を実現するための契約や交渉のコツ

サイト売買の失敗|購入者が陥る罠

  • 収益やアクセス情報の虚偽
  • 運営知識不足による後悔
  • 想定外の運営費用と手間
  • サイト移行時の技術的トラブル
  • ブラックハットSEOのリスク
  • 収益源のアフィリエイト案件終了

収益やアクセス情報の虚偽

サイト購入者側の失敗として最も多いのが、開示された収益やアクセス情報が実際と異なるケースです。これは、売主がサイトを少しでも高く売却したいと考え、意図的にデータを改ざんしたり、一時的にアクセスを水増ししたりする場合があるからです。

例えば、都合の良い月だけの収益レポートを切り取って提示されたり、Googleアナリティクスのデータを画像加工されたりする手口が報告されています。また、売却の直前だけ広告を出稿して一時的にアクセスを増やし、それが平常時の数値であるかのように見せかける事例も存在します。

対策:データの裏付けを徹底的に確認する

このような失敗を避けるための対策は、Googleアナリティクスやサーチコンソールの閲覧権限を直接付与してもらうことです。これが最も確実な方法と言えます。権限をもらうことで、リアルタイムのデータはもちろん、過去のアクセス推移、ユーザーの流入経路、検索キーワードなどを自分の目で直接確認できます。

また、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)の管理画面についても、提示されたスクリーンショットを鵜呑みにしないでください。可能であればZoomなどの画面共有を通じて、実際の報酬発生状況や承認率、報酬単価などを確認させてもらうのが理想です。

注意点

データの閲覧権限付与を頑なに拒否したり、画像データしか提出しない売主には注意が必要です。誠実な売主であれば、買主の不安を解消するため、情報開示には協力的なはずです。

運営知識不足による後悔

サイト運営の経験がない、または浅い方が、「不労所得」「放置で稼げる」といった魅力的な言葉に惹かれ、勢いでサイトを購入してしまい後悔するパターンも少なくありません。

その背景には、実際のサイト運営に必要な知識や労力を正しく見積もれていないという問題があります。

例えば、WordPressで構築されたサイトを購入したものの、プラグインの更新方法が分からないサーバーエラーが発生した際に対処できないといった技術的な問題に直面します。また、コンテンツの定期的な更新が必要なジャンルのサイトであるにもかかわらず、記事の書き方や基本的なSEOの知識がなく、購入後にアクセスが激減してしまうケースも多いです。

特に専門性が高いジャンル(金融、医療、法律など)のサイトは要注意です。ご自身にその分野の知識や資格がないと、コンテンツの品質を維持・向上させることが非常に難しく、せっかくの資産を宝の持ち腐れにしてしまう可能性があります。

対策としては、購入前に、そのサイトがどのような技術(WordPress、特定のプラグイン、使用言語など)で構築されているかを詳細に確認しましょう。そして、自分自身でその運営が可能か、あるいは外注などでカバーできるのかを冷静に判断する必要があります。

想定外の運営費用と手間

サイトの収支情報に記載されていなかった、隠れた運営費用や手間が購入後に発覚し、計画していた利回りを大幅に下回ってしまう失敗例です。

この原因として、売主が自身の作業時間を「人件費」としてコスト計上していなかったり、有料ツールやサーバー代の全容を正確に開示していないことが挙げられます。

例えば、「運営費用はサーバー代の月1,000円のみ」と説明を受けていたのに、実際には記事作成の外注費が月5万円かかっていたり、高額な有料SEOツールの契約が必須だったりする場合があります。また、長年放置されていたサイトの場合、WordPress本体やプラグインのアップデート、古い記事の全面的なリライトなど、健全な状態に戻すまでに膨大なメンテナンスコストと時間(=人件費)がかかることもあります。

購入前に確認すべきコスト例

収支報告だけでなく、サイト運営に関わる全ての契約や作業内容をリストアップしてもらい、人件費を含めた実質的なランニングコストを算出することが重要です。

項目確認内容
固定費サーバー代、ドメイン代、有料ツール(WordPressテーマ、プラグイン、SEOツール等)の月額・年額費用
変動費 (外注費)記事作成、画像作成、サイト保守などを外注している場合の費用と契約内容、引き継ぎの可否
人件費 (運営者)売主がサイト運営にかけていた月間の平均作業時間、主な作業内容(記事更新、SNS運用、メンテナンス等)
その他広告出稿費(もしあれば)、画像素材サイトのライセンス料、メルマガ配信システムの費用など

サイト移行時の技術的トラブル

サイトの所有権を移す「サイト移行」の過程で失敗し、サイトが表示されなくなったり、最悪の場合はデータが破損したりするケースです。これは非常に深刻なトラブルにつながりかねません。

サイト移行には、大きく分けて「ドメイン移管」(住所の所有権を移す)と「サーバー移転」(家のデータを引っ越す)という専門的な作業が必要です。手順を一つでも誤ると、重大なトラブルを引き起こします。

具体的な失敗例としては、WordPressの移行プラグインが正常に動作せず、一部の画像や記事データが消えてしまうことがあります。また、ドメイン移管時に必要なメール認証を忘れてドメインが停止したり、新旧サーバーの環境差異(PHPのバージョン違いなど)が原因でサイトが正常に動作しなくなったりする失敗も多いです。

特に注意が必要なサイト

AWSなどの複雑なサーバー環境で構築されているサイトや、独自システムが組み込まれているサイトは、通常のレンタルサーバーへの移行が非常に困難な場合があります。技術的な知見がない場合は、安易に手を出すべきではありません。

対策として、サイト移行の経験が全くない場合は、無理をせず、ラッコM&Aなどのサイト売買プラットフォームが提供する移行代行サービス(有料)や、専門の業者に依頼することを強く推奨します。費用はかかりますが、失敗してサイトの価値を失うリスクを考えれば、必要な投資と言えます。

ブラックハットSEOのリスク

購入したサイトが、過去にGoogleのガイドラインに違反するSEO(ブラックハットSEO)を行っており、購入後にペナルティを受けてしまうリスクです。

これは、売主が検索順位を不当に操作するために、自作自演の被リンク(外部リンク)を大量に設置したり、プログラムで自動生成した低品質なコンテンツを量産したりしている場合に発生します。

購入時は問題なくアクセスを集めていても、Googleのアルゴリズムアップデートや手動対策によって、ある日突然検索順位が圏外に飛ばされ、アクセスが激減してしまうことがあります。また、中古ドメイン(過去に別のサイトで使われていたドメイン)を使用しているサイトも、過去の運用履歴によっては同様のリスクを抱えているため注意が必要です。

対策としては、Ahrefs(エイチレフス)などのSEO分析ツールを使い、どのようなサイトからリンクされているか(被リンクの質)を事前に確認することが重要です。不自然な日本語のサイトや、ジャンルと全く関係のない海外サイトからのリンクが多い場合は危険信号です。可能であれば、Search Consoleの「手動による対策」の項目をチェックさせてもらいましょう。

Wayback Machine(ウェイバックマシン)という無料ツールでサイトのURLを入力すると、過去にそのドメインでどのようなサイトが運営されていたかを確認できます。これもリスク判断の一助となります。

収益源のアフィリエイト案件終了

サイトの主要な収益源であったアフィリエイト案件が、購入直後に突然終了したり、報酬単価が大幅に下落したりする失敗も深刻です。

アフィリエイト案件は、広告主の予算や戦略の都合で、予告なく変更・終了することが日常的にあります。そのため、特定の案件に収益の大部分を依存しているサイトは、その影響を直接受けてしまい、収益性が一気に悪化するリスクを抱えています。

例えば、月10万円の収益がすべて「A」という一つの金融商品の紹介で成り立っていた場合、その案件が終了すれば、サイトの収益はほぼゼロになってしまいます。

また、もう一つの注意点として「特別単価」の問題があります。売主が長年の実績でASPから通常よりも高い報酬単価(特別単価)をもらっている場合、その単価が買主には引き継がれず、通常の単価に戻ってしまうことがあります。これにより、同じ件数を獲得しても収益が大幅に減少する可能性があります。

対策としては、収益構造を詳細に確認し、特定の案件やASPに収益が偏りすぎていないかをチェックしましょう。もし依存度が高い場合は、その案件が終了した場合の代替案件が他にあるか、ASPの担当者に今後の案件の見通しを確認してもらうなどの対策が必要です。特別単価についても、買主への引継ぎが可能かどうかを契約前に必ず確認してください。

サイト売買の失敗|売却側の後悔

  • 交渉中の情報抜きと機会損失
  • 代金未払いや持ち逃げ被害
  • 契約書の不備と競業避止違反
  • 購入側の移行失敗トラブル
  • 譲渡後のサポート負担と注意点
  • サイト売買で失敗しないために

交渉中の情報抜きと機会損失

売却側(売主)の失敗として、購入を装った交渉相手にサイトの重要情報だけを抜き取られてしまう、通称「買う買う詐欺」があります。

サイトの収益化モデル、詳細なアクセスデータ、キーワード戦略、有力な外注先の情報などは、競合サイトを運営する上で非常に価値が高い情報です。それらを安価(あるいは無料)で入手しようと考える悪質な業者が存在するため、情報開示には細心の注意が必要です。

具体的な被害としては、詳細なデータを要求されたため開示したところ、その後連絡が途絶え、数ヶ月後に酷似したサイトが立ち上がっていた、というケースが該当します。

また、別の失敗パターンとして「機会損失」もあります。複数の購入希望者と交渉している間に時間をかけすぎ、最も条件が良く、購入意欲も高かった最初の希望者が交渉から離脱してしまうことです。結果として、希望額よりも安く売却せざるを得なくなるパターンです。

情報抜き対策

  • 交渉の段階に応じて開示する情報を限定する(例:最初はサイト概要のみ、契約直前に詳細データ)。
  • 交渉を開始する前に、秘密保持契約(NDA)を締結することを徹底する。
  • ラッコM&Aなど、NDA締結がプロセス化されている信頼できるプラットフォームを介して交渉する。

代金未払いや持ち逃げ被害

これは売主にとって最も恐ろしい失敗の一つで、サイトを先に譲渡したにもかかわらず、買主から約束の代金が支払われないという詐欺的な被害です。

この種のトラブルは、仲介業者やプラットフォームを介さない個人間取引(SNSでの直接取引など)で発生するリスクが極めて高いです。なぜなら、代金の支払いとサイトの引き渡しのタイミングを担保する中立的な仕組みが存在しないためです。

例えば、買主から「銀行の振込手続きを完了した」と連絡があったため、先にサイトを移管してしまったところ、実際には入金されておらず、そのまま連絡が取れなくなるケースです。一度移管したサイトを取り戻すのは非常に困難です。

また、分割払いを承諾した場合も、初回の支払い以降、入金が滞ってしまうリスクが常に伴います。

対策:エスクローサービスを必ず利用する

この失敗を防ぐ最も確実な方法は、エスクローサービスを利用することです。エスクローとは、買主が支払った代金を中立的な第三者(プラットフォーム運営会社など)が一旦預かり、サイトの譲渡が完了したことを売主・買主双方が確認してから、売主に代金が支払われる仕組みです。これにより、売主は「代金未払い」、買主は「サイト未譲渡」のリスクを双方ともに回避できます。

契約書の不備と競業避止違反

サイト売買契約書の内容に不備があったり、内容をよく確認せずに署名したりした結果、売却後に思わぬトラブルに発展するケースです。

サイト売買の契約書には、「競業避止義務」など、売主の将来の事業活動を法的に制限する重要な条項が含まれていることが一般的です。

「競業避止義務」とは、具体的に「売却したサイトと類似する事業(サイト運営)を、一定期間(例:1〜2年)行ってはならない」という定めです。この条項の存在や範囲をよく理解しないまま、売却後すぐに似たジャンルの新サイトを立ち上げてしまい、買主から契約違反として損害賠償を請求される可能性があります。

逆に、譲渡する資産の範囲(例:サイトに付随するSNSアカウントやメルマガ読者リストも含むか)が契約書で曖昧だったために、「それは譲渡対象に含まれていないはずだ」と買主と「言った言わない」のトラブルになることもあります。

対策として、契約書は隅々まで読み、特に「競業避止」の範囲や期間「譲渡対象物」の定義が自身にとって妥当であるかを必ず確認してください。高額な取引や複雑な条件が含まれる場合は、弁護士などの専門家に契約書のリーガルチェックを依頼することも重要です。

購入側の移行失敗トラブル

サイトの引き渡し(移行作業)が完了した後、買主側の技術的な問題や知識不足でサイト移行に失敗し、その責任を売主が問われたり、対応に追われたりするトラブルです。

買主がサイト運営初心者で、サーバー移転やドメイン移管の知識が全くない場合、手順を誤ってサイトのデータを消失させてしまうことがあります。

その結果、買主が「教えてもらった通りに作業したらサイトが消えた。あなたの説明が悪い」と主張し、売却代金の返金を求めてきたり、契約範囲外であるはずのサイト復旧作業を無償で要求してきたりするケースです。

売主としては、売却が完了して代金も受け取ったのに、いつまでも買主の技術的なサポートに時間を取られるのは大きな負担ですよね。これを防ぐには、事前の取り決めが非常に重要になります。

対策としては、交渉段階で、買主のITリテラシー(技術的な知識)をある程度見極めることが大切です。もし買主側に技術的な不安がある場合は、サイト移行代行サービスの利用を取引の必須条件として提案することを推奨します。これにより、移行作業は専門家が責任を持って行うため、売主の移行に関する負担は大幅に軽減されます。

譲渡後のサポート負担と注意点

これは売主側が陥りやすい「後悔」の一つです。売却契約時に「譲渡後のサポート」の範囲を明確に定義していなかったために、買主から際限なく質問が来てしまい、実質的に無償のコンサルタント状態になってしまう失敗です。

買主(特にサイト運営初心者)は、サイト運営に関するあらゆる疑問(WordPressの基本的な使い方、記事の書き方、SEO対策の方法など)を、元々の運営者である売主に聞こうとする傾向があります。

具体的な例として、「WordPressのプラグインの更新方法がわからない」「サーバーエラーが出たがどうすればよいか」「どうすればもっと稼げるか」といった、譲渡したサイト固有の問題とは言えない基礎的な質問が、契約で定めたサポート期間が終了した後もチャットなどで続いてしまうケースです。

この失敗を防ぐためには、契約時に、サポートの期間(例:譲渡完了後1ヶ月間)サポートの範囲(例:譲渡サイトの運営に必要な固有情報(広告タグの設置場所など)の提供のみ)を明確に定義し、契約書に明記することが不可欠です。

サポート範囲の定義例

「WordPressやサーバーの一般的な操作方法、SEOに関するノウハウ、新規コンテンツの作成方法に関する助言はサポート範囲外とする」など、対応しないことを具体的に決めておくと、お互いの認識のズレを防ぎやすくなります。

サイト売買で失敗しないために

これまで解説してきたように、サイト売買には多くの失敗パターンが潜んでいますが、これらのリスクは適切な知識と準備によって回避することが可能です。サイト売買の失敗を避け、安全な取引を実現するために、重要な要点を以下にまとめます。

  • サイト売買は購入者・売却者双方にリスクがあることを認識する
  • 購入者は提示された収益やアクセス情報の虚偽に最も注意する
  • データは画像やスクリーンショットを信用せずGoogleアナリティクスの権限付与で確認する
  • ASPの管理画面も可能であれば画面共有などで実際の数値を確認するのが望ましい
  • 自分の運営知識やスキルで扱えるサイトか冷静に判断する
  • 隠れた運営費用(人件費・外注費・ツール代)を含めて実質的な収支を計算する
  • サイト移行は技術的なトラブルが多発しやすい工程だと理解する
  • 移行作業に少しでも不安がある場合は専門の代行サービスの利用を推奨する
  • ブラックハットSEOの痕跡がないか被リンクなどを調査する
  • 特定の収益源やアフィリエイト案件に依存したサイトは高リスクだと判断する
  • 売却者は「買う買う詐欺」によるサイトの情報抜きに注意する
  • 情報開示は交渉の進捗に合わせて段階的に行い秘密保持契約を締結する
  • 代金未払いを防ぐためエスクローサービス(代金預託)を必ず利用する
  • 個人間取引はリスクが非常に高いため避ける
  • 契約書の競業避止義務の範囲と期間が妥当か必ず確認する
  • 譲渡後のサポート範囲と期間を契約書で明確に定義する
  • 口約束はせず全てのやり取りはチャットなど記録に残る形で行う
  • 購入者・売却者ともに信頼できる仲介プラットフォームを選ぶことが最も重要な失敗回避策となる